じんましん
じんましんも有名な皮膚の病気の一つで、人口の15%が一生に一度は経験するとされます。皮膚に突然かゆみを伴った盛り上がりを生じます。多くは数時間であとかたもなく消えますが、その後何回も繰り返し出現することがあります。皮膚に異常がない時でも、引っ掻いたり、買い物袋などで圧力が加わったりすると、そこが赤く盛り上がってきます(紅色描記症)。ひどいときは体中に世界地図のように出現して痒くてたまらない、ということがあります。
原因は食物、薬剤、工業製品、昆虫、感染症、物理刺激(圧迫など)、運動、発汗、精神的なストレスなどが挙げられます。当院ではじんましんの原因となりうるアレルギー物質に対する特異的な抗体の存在を血液検査で調べることが可能ですが、残念ながら原因の特定に至らないことも多いです。
いずれにせよ何らかのきっかけでヒスタミンという物質が分泌されることが原因とされており、まず抗ヒスタミン剤の内服から治療を開始します。抗ヒスタミン剤にも何種類かあるため、最初に処方した薬があまり有効でなければ別の抗ヒスタミン剤を試したり、投与量を増やしたりします。胃薬や気管支喘息の薬もじんましんに有効なことがあるため、処方することがあります。どうしても難治であれば最近はゾレアという効果の高い注射薬が使用できるのですが、当院ではまだ準備中のため、適切な医療機関をご紹介いたします。
スギ花粉症
日本人の5人に2人がスギ花粉症ではないかと言われています。当院ではスギ花粉症に対する減感作療法(アレルゲン免疫療法)が可能です。スギ花粉のエキスから作られたシダキュアという薬を使用して、スギ花粉に体をゆっくり慣らしてゆくという治療です。なお当院では中学生以上の方に限って治療いたします。
シダキュアの投与はスギ花粉が飛散していない時期に始めます。まず原則として血液検査を行い、スギ花粉症の診断を確定させてから開始することにしています。使用法は錠剤を舌の下に置いて1分待つだけですが、使用後30分は運動など控えて下さい。
副作用として口の中や耳が痒くなったり、喉に刺激を感じたりすることがあります。まれにアナフィラキシーといって重篤な症状を引き起こすことがあるため注意が必要です。初めてこの薬を使う時は、念のためクリニックで行うようにしています。以後は少量を1週間投与し様子をみて、問題なければ2週目に増量します。
治療に長期間(3-5年)かかるのが難点ですが、くしゃみ・鼻水や目のかゆみなどの改善が期待されます。