以下のような皮膚疾患の手術を行います(例)
粉瘤
皮膚科外来でよく遭遇する皮膚腫瘍です。皮膚の成分が皮膚の下にめくれこんで増殖し、垢の溜まった袋を形成します。表面に黒点が見えることがあります。単発の場合もあれば、多発することもあります。
普段は特に痛みやかゆみなどありませんが、細菌に感染すると急に赤く腫れて痛むようになり、やがて破れて内部から悪臭を伴う物質が流出します。抗生剤で赤く腫れる前の状態に戻せることもありますが、後日また細菌感染を起こすこともあります。
根治療法は手術になります。小さなものはパンチでくり抜き、大きなものはメスで行います。化膿していない場合は切除後に縫合し、翌週抜糸します。内部に膿が溜まっていた場合は切開術のみで手術を終え、感染が落ち着くまで何日か洗浄処置を行うことがあります。
脂漏性角化症
老化や紫外線の影響などで発生すると考えられている茶色~黒色のできものです。高齢になるとほとんど全員に生じるとされ、老人性疣贅(老人性いぼ)とも呼ばれます。顔にできて気にされる方が多いですが、手のひらと足の裏以外どこにでも発生します。大きさは1~2cm程度が多いですが、もっと大きくなることもあります。
外観が皮膚癌に似ることもあるため、ダーモスコープという拡大鏡を用いて診断します。脂漏性角化症と診断できれば、良性のできものであるため、治療は必須ではありません。しかし、見た目が気になる、くしに当たって邪魔になるなど、患者さんが希望される場合は治療を行います。
当院では液体窒素凍結療法、もしくは手術(shave excisionという病変を浅く削り取る方法)を行いますが、どちらも長所と短所があるため、外来でよくご説明した上で治療法を決定します。レーザー治療は現在準備中です。
ほくろ(母斑細胞母斑)
ほくろはほとんど誰でも1つはあるような、よく知られたできもので、多くは良性なので放置しても構いません。しかし時に悪性のものが紛れているため、まず上述のダーモスコープを使って診察し、悪性の可能性があるか判定します。悪性を示唆する所見がなくとも、患者さんが希望される場合は治療を行います。また急に大きくなっている、ときどき出血する等の症状があれば、診断確定のため切除をお勧めすることがあります。 小さなほくろは高周波ラジオ波メス(サージトロン)を用いて取り除くか、パンチで全摘して縫合します。大きなほくろはメスで切除したのち縫合して、1週間後に抜糸となります。なお明らかに良性と思われるほくろを複数個除去したいとご希望の場合は、自費診療で行います。
その他のできもの
皮膚には、このスペースに書ききれないくらい多くの種類のできものが発生します。一見しただけでは病名を確定し難い場合でも、切除した標本を顕微鏡で確認することで診断が可能になります。 切除を希望される場合は、なるべくご希望にお応えしたいしたいと思っております。
ただし
- 病変が大きい
- 全身麻酔が必要(幼児など)
- まずは画像検査が望ましい
- 明らかに悪性度が高い
- 皮膚科医以外が診察・手術したほうが良い
などの場合は、他の医療機関をご紹介することがあります。
陥入爪
深爪などをきっかけとして、爪のヘリが皮膚に食い込んで赤く腫れ、強い痛みを伴い、肉芽を形成します。
軽度であればテーピングや外用薬で治療を試みます。肉芽を液体窒素で凍結させたり、ガター法といってチューブを爪のヘリにはめたりすることもあります。こういった方法を保存的治療と呼びますが、速効性に乏しく、爪の食い込みが大きい場合などうまく行かないこともあります。
そのような場合には爪の外側を細長く切除する(爪母温存爪甲側縁楔状切除術といいます)と早期の症状改善が期待できます。適応がある方には症例写真をお見せして説明します。なおフェノール法は行っておりません。
いぼ(尋常性疣贅)
ヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚に感染して発症するとされます。発症初期は小さくて平坦ですが、時間が経過するにつれて隆起してきます。痛みやかゆみはありませんが、足の裏に生じると歩行時などに痛みを伴うことがあります。
液体窒素凍結療法が治療の中心ですが、当院では凍結前に徹底的に削ることにしています。スピール膏やヨクイニンなどの薬を併用することもあります。毎週、または隔週で治療を継続しますが、治癒まで時間がかかることも多く、1年以上通院される方もおられます。
当院では凍結療法でなかなか治らないいぼの手術が可能です。いぼはぎ手術といって、局所麻酔の注射をしてから文字通りいぼをはぎ取ります。難治性のいぼにはかなり有効ですが、それでも再発しうること、傷の処置をしばらく行わなければならないことなどから、どうしても治らない難治性のいぼに限って提案するようにしています。